Hated By My Mate 私の大事な人は私が嫌い 1巻 - 表紙

Hated By My Mate 私の大事な人は私が嫌い 1巻

Nathalie Hooker

第2章

オーロラ

カラさんは、着替えて数時間の休憩を取るようにと、私を家に帰した。アルファ・ウルフギャングとの出会いについては話さなかった。必要以上に面倒なことになるからだ。

明日の夜にはアルファの家に戻らなければならなかった。ガラは9時からだ。

私はウルフギャングの生意気な笑みを思い出し、腹が立った。

そもそも明日行く必要ある?

家に帰ると、不快な光景が目に飛び込んできた——継母モンタナが全裸で歩き回っていたのだ。

「うわっ!」私はわざと大声で言った。「この部屋ではお互いのプライバシーはちゃんと守ろうって決めたじゃない。全裸で家の中を歩き回るなんて」

私は振り返り、彼女が何かしらを身にまとうまで待った。

「ごめんごめん、こんなに早く帰ってくるとは思わなくて。村の南部をパトロールしてきたところでね」彼女は淡々と答えた。

継母は鋭い嗅覚を持つ探索者だった。

時折、アルファは彼女にパトロールを命じ、最近国境周辺に潜んでいるならず者たちの匂いを嗅ぎ分けられるかどうかを確かめていた。

「何でもいいけど」私は呆れてそのまま自分の部屋に行き、ベッドにダイブした。

眠ろうとしたけれどなかなか寝付けなかったので、1階に降りて夕食の準備をすることにした。

1階に降りると、家の中には私ひとりしかいないことに気づいた。モンタナはまた出かけたのだろう。

よかった、と肩をすくめた。

パスタを作ったあと、テレビの前に座って観たい映画を探し始めた。

携帯電話が鳴り始めた。よかった、エマからだ。

「やっほー」テレビの映画リストをスクロールしながら電話に出た。

「それで……パーティーの掃除と準備はどうだったの?」

一瞬ためらった。アルファ・ウルフギャングとのことをエマに話そうかと思ったが、やめた。彼がいかにセクシーだったか聞いて、ギャーギャー騒ぎ立てるだけだろうから。

村の女の子はみんな彼に夢中だった。

「超大変だよ。建物がデカすぎて、飾り付けが終わらないかと思ったもん」話しながら、パスタを口に詰め込む。

「うわ〜、だろうね。何時から始まるの?」

「5時半くらいに行かなきゃいけないんだけど、大変なのは8時からかな」

「何時に終わるかわかる?」

「分かんないけど、12時までは絶対にかかると思う」

「だるいね〜。じゃあ明日はチャットで誕生日を祝うことにする」

「携帯を家に置いてくるように言われたから、帰るまでチャットは見れないけど」

「マジで最悪だね」

私は思わず笑ってしまった。

私たちはその晩、時間が経つのも忘れておしゃべりに明け暮れた。私は気づいたら眠ってしまい、あっという間に翌日になっていた。

私はアルファの家に向かった。門のところで衛兵に挨拶して中に入った。

メイド部屋で制服に着替えた。

長袖の白いボタンアップシャツに赤い蝶ネクタイ、ハイウエストの黒いパンツに黒いヒールだった。

着替えが終わったメイドたちはガラの部屋に向かった。部屋の照明は薄暗くなっていた。私たちは1人1人トレイを取り出し、ゲストを迎える準備をした。

カラさんがメイド1人1人に担当テーブルを割り当て、そのテーブルに一番近い壁際に立つように指示を受けた。

やがて会場は、高級な装いの人々で溢れ始めた。

そして最後に来たのが、私たちの属する西のブルームーン族だ。

ブルームーン族のアルファ(リーダー)が、娘のタルーラ・ヴィルヘルムと一緒に入ってきた。彼女ほど美しい人をこれまで見たことがなかった。

長くて綺麗なブロンドの髪、日に焼けた健康的な肌、明るい薄茶色の瞳。彼女の存在自体が完璧そのものだった。

その次に、ガンマのリーマス・ボーマンが入ってきた。彼は20代後半で、パートナーのアスペンと手をつないでいた。

リーマスの黒い茶髪にはちらほらと白髪が混じっていた。目は茶色で、この村で最も背の低い男性の1人だった。

しかしそれだけではなく、彼は一族の中で最も賢く、最も強い男性の1人でもあった。

次にベータ(一族の2番手)のマキシマス・バローンがやってきた。彼は背が高く緑の目が特徴だが、そのブロンドの髪は汚れていた。

女たらしだったにもかかわらず、女の子たちはみんな彼に夢中だった。一族の中で2番目に強いというポジションもそうさせるのだろう。

最後に、主役のお出ましだ。

若手アルファ、ウルフギャング・フォルティア・ガリアルディだ。ベータが女性を熱狂させるなら、彼は本物の色男だった。

ベッドから起き上がったばかりのような漆黒の髪と、サファイアのように輝く青い瞳に、私は思わず見惚れてしまった。

彼の凄まじい筋肉は、服の上からでも明らかだった。思わずその筋肉に包まれた時のことを思い出す。まるで女神によって作られた人みたいに感じた。

しかし、彼にはひとつ問題があった……。

笑い方も分からなければ、誰かに親切にすることもできなかった。

彼がどれだけ目を奪われるほど魅力的でも、その冷笑と溢れんばかりのアルファオーラが人々を遠ざけてしまうのだ。

少なくとも、私はそう思っていた。

あのニヤニヤした表情が再び脳裏をよぎったが、すぐに振り払った。

妄想してる場合じゃないでしょ、仕事しに来たんだから!

ウルフギャングはほとんど幼なじみのベータとしか会っていない。あるいはもう一人のアルファの娘、タルーラくらいだった。

彼と一瞬目が合った。その視線は、身動きできなくなるくらい強烈だった。ほんの一瞬だけで、私の心はかき乱された。

アルファが席に着くと、全員それにならった。

そしてパーティーが始まった。

私は担当テーブルの仕事で忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまった。

突然他のメイドに声をかけられた。「ローリー、カラさんがちょっと調理場に来てほしいって」

「すぐに行きます」空になった食器を下げ、グラスを補充しながら返答した。

調理場に入ると、紙吹雪が降ってきた。

「お誕生日おめでとう、オーロラ!」みんなが叫ぶ。18本のろうそくが立てられたケーキが目の前に置かれた。

「わあ、ケーキなんてよかったのに」ありがたさと申し訳なさが入り混じった。

「18歳になるのは人生で一度だろ」コックの声だ。

「もうすぐ自分の狼の声が聞こえるよ。それから変身して……」カラさんは意味ありげに間を置いた。「パートナー探しね!」

みんなは楽しそうに笑っていたが、私は呆れるしかなかった。

少しケーキを食べて、みんなで仕事に戻った。

突然、頭の中で奇妙な声が聞こえた。

オーロラ......微かだったが、はっきりと聞こえた。

私の狼だった。この瞬間、やっと目覚めたのだ。

こんにちは……? 心の中で答える。

彼女がくすくす笑うと、彼女の姿を心の目でとらえられるようになった。彼女の毛は雪のように白く、目は紫色だった。

会えて嬉しいわ。私はあなたの狼。名前はレアよ。

よろしくね、レア。と私は答えた。~仲良くし——~

おいしそうな香りがして、言葉を切った。松、アーモンド、琥珀が混ざった香りだ。

吸い寄せられていると錯覚するほど、好きな香りだった。

レアもその香りを嗅いだ。彼女は鼻を突き上げ、匂いを嗅いでいた。

次の瞬間彼女の口から発せられた言葉は、信じられない内容だった。

パートナーが近くにいるわ。匂いで分かる、確実よ。

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